2022年度のCESがオンライン・オフラインで同時に開催されました。
オフラインでの開催は実に2年ぶりとなります。
惜しくもコロナの影響により参加を自粛した企業もありましたが、オンライン参加者を含め、
非常にユニークだと感じた注目すべき企業をピックアップしてみたいと思います。
◆ PlayStation VR2
ゲームが好きな方はもちろんのこと、eスポーツやメタバース視点でも見逃せない分野です。
今回発表された「PlayStation VR2」の大きな特徴は、ヘッドセットによる頭部の感覚の再現です。
頭上で物体が動く時の感覚が手元だけでなく頭部でも感じられる仕組みとなっていて、緊張時の心臓の鼓動の音も再現されているため、リアルな緊張感を味わうことが出来ます。
さらに、目の動きを感知する視線トラッキング機能が搭載されることで視界の鮮明度が向上し、よりリアルな世界観が味わえます。また、本体にカメラ機能が内蔵されているため、余分な機器やケーブルが必要ありません。
<画像引用元・公式ブログ>
◆ Hyundai's autonomous pod
車椅子や自動車代わりになるコンパクト型移動機「autonomous pod」です。
人間を包み込む構造なので安全性に優れており、自動運転で、同時に荷物の運搬を行うこともできます。また、荷物の積み卸しは一緒に格納されている4足歩行ロボットが行ってくれる構想となっています。
これをバスくらいの大きさにしたHospital Mobilityは、医師を現地に運搬し、他のHospital Mobilityとドッキングすることで病棟にしてしまう構造となっています。つまり、いつでもどこでもその場で病院を組み立てることが出来ます。
まだ構想段階のようですが、画期的なアイデアだと思いました。
<画像引用元・公式サイト>
◆ Samsungが掲げるサスティナブルテクノロジー
リサイクルマテリアル等を使用することで地球環境に配慮した持続可能な開発を目指すというものです。昨今ではESG投資にも注目が集まっています。投資家が5年の時間をかけて化石燃料から撤退する意向との報道もありました。投資家の動向に合わせて企業としてサスティナブルを掲げるのは、地球環境への配慮だけでなく、企業戦略としても効果的なのではないかと思われます。
Samsungの場合は、パッケージングから製品の使用と廃棄までのサイクルを再考し、二酸化炭素排出量の削減が認められました。
今回、そのようなSamsungが発表したのは、小型化ポータブルスクリーン「The Freestyle」です。バッグにも入れられるコンパクトさで、重さは2ポンド未満です。最大100インチの画面投影ができ、スピーカー機能も搭載しています。角度も180度調整でき、ケーブルやWi-Fiは必要なく、スマートフォンをタップするだけで瞬時に映像のミラーリングが行えます。これらにより、どこに居ても映画鑑賞のような体験ができます。それだけでなく、インテリアのライトとしても使用できます。
同時に、「SmartTV」の発表もありました。SmartTVに含まれているSamsung Gaming Hubではダウンロード不要でゲームを楽しめ、チャットも行えます。
<画像引用元・公式サイト>
◆ 目には見えないヘッドホン「noveto」
顔追跡型のAI超音波スピーカーです。ヘッドホンを頭に装着しなくとも、スピーカーの目の前にいる自分だけに音が聞こえる環境を作り出すことが出来ます。
スピーカーの目の前から移動すると音が聞こえません。
例えば、自分は賑やかなスポーツ観戦を楽しみたいけれど、他の家族は静かに過ごしたい場合にも役立ちます。オフィスで聴きたい音楽を他の同僚に聴かれることなく鑑賞することができます。
<画像引用元・公式サイト>
◆ インクの要らないペイント技術「iX Flow Featuring E Ink」
電子ペーパーで使用されるe-inkを用いた、車体の模様を変えられる技術です。
紙のような薄い素材の中に色素を含んだ透明なカプセルが大量に入っていて、その層の上部と下部の電極を制御することで模様に変化をもたらします。消費電力が少ないため持続が可能で、車体に車のバッテリーを表示させるなどの応用にも活用できます。暑い日はホワイトモードにして熱を反射させ、寒い日はブラックモードにして熱を吸収して空調の管理サポートを行うことも想定しています。
将来的には様々な色を表現できるよう発展させていく予定です。画期的な技術ではありますが、課題としては、登録した車体の色を変更することが現在の法律では規制されていることです。この点は議論して行かなくてはならないと述べていました。
他、BMWは車体だけでなく、車内のスマート化にも力を入れていて、デジタルアートや音楽を用いて搭乗者が癒される空間を提供できるよう努めています。
<画像引用元・公式サイト>
◆ Abbottによるヘルステック「Lingo」
Abbottが開発したのは、体内のブドウ糖などの成分量をモニタリングできる小型の健康測定器です。このようなシステムを持続グルコースモニタリング(CGM)と言います。
ピップエレキバンのような丸形で小さな装置を腕に貼り付け、スマートフォンを通してデータをチェックすることが出来ます。特定の病気の患者に対する健康チェックだけでなく、アスリートの健康管理にも役立っています。
手頃な価格でアクセスのしやすいため、50カ所以上もの国々で350万人近くの人々の生活を支えてきました。
今回発表された次世代型CGMは、世界最小で最も薄いグルコースセンサーを備え、最長14日間の装着が可能となっています。また、測定できるものはグルコース(血糖値)に限らず、ケトン、乳酸塩、アルコールへと対応を拡大しました。
CES2022でベストオブイノベーション賞に選ばれています。
<画像引用元・公式サイト>
◆ 指紋認識型南京錠Fingerprint Sport Lock
FingerprintSportLockは、指紋を使って解除することができる南京錠です。
軽量型でデザインにも優れており、スポーツ愛好家や健康愛好家の為に開発されました。
まさに、次世代型フィットネスセキュリティに相応しいプロダクトです。
CES2022 HONOREE賞を受賞しました。
<画像引用元・公式サイト>
◆ 自分のイラストをネイル化できるNailbot
Preemadonnaが開発した、自分で作成したデザインデータを爪に印刷することができる家庭用のマニキュアデバイスです。製品を体験しつつ、モバイルアプリケーションのアートマーケットプレイスでコミュニティを構築することが可能です。CES2022 HONOREE賞を受賞しました。
<画像引用元・公式サイト>
◆ インテリア型音響機器SOUND MIRROR
家具や芸術品のようにデザインされたホームインテリアスピーカーです。
モバイル機器からBluetoothを使ってワイヤレスで音楽等をストリーミングでき、部屋中に響かせた壮大なサウンドを楽しめます。また、人工知能アシスタント、スマートホーム機能を搭載し、高品質かつインパクトのあるサウンドを組み合わせることで、どのような空間でも雰囲気を変えることができます。さらに、音声起動式のためハンズフリーで使用ができます。
CES2022 HONOREE賞を受賞しました。
<画像引用元・公式サイト>
◆ デジタル疲れを回避するmui platform
あらゆるIoT機器に対して、木材などの自然素材を使って「穏やかさ」を再現し、住空間の美しさに溶け込むデザインを提案するプラットフォームです。CES2022 HONOREE賞を受賞しました。
<画像引用元・公式サイト>
◆ 発電ができるSolar Tree「SOLTRIA」
小型の3D球状太陽電池を実装した人工木の葉を接続することによって木の光合成を再現した技術です。従来のソーラーパネルの100倍以上の電力を発電し、スマートシティなどの都市部や、電気のない砂漠地帯に設置できる発電所として活用できます。センサーやカメラモジュールを組み込めばビッグデータの収集も可能とのことです。こちらもCES2022 HONOREE賞を受賞しました。
<画像引用元・公式サイト>
◆ 総括 ◆
注目すべき企業11選、いかがでしたでしょうか?
今回のCES2022で最も多かった参加業種は「輸送/車両技術」でした。
次いで、スマートホーム系、その次にIoT関連でした。
オンライン・オフライン問わず各登壇者の発言で目立ったキーワードは「ストリーミング」です。
自宅の窓やドアが自動で開閉するmotion doorsも近未来的で惹かれました。
他、MediaLinkのCEOであるMichael KassanがDXに関するオンラインセッションで投げかけていた「パンデミックによる市場のメッセージングの変化」の視点や、ASUSのPCプロダクト発表にて述べられていた「宇宙耐久性のある」というキャッチフレーズが面白かったです。
YouTubeやCES公式サイト等にも詳細が記載されておりますので、
気になる方は是非チェックしてみてください!
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